シンポジウムの開催

=大阪府立大学問題を考えるシンポジウム=

府立大「改革」はこれでいいの?

大阪府立大学問題を考える会主催による、2月27日開催のシンポジウムには、150名を超える参加いただきました。シンポジストから今回の「府大改革案」の問題点が指摘された後、フロアーから次々と橋下知事および学長に対する批判や総合大学存続への熱い思いの発言がありました。
以下、参加OBの方のまとめからのシンポジウム要旨です。

 

2月27日 於:大阪府立大学学術交流会館 

【シンポジウムの内容】
  中井代表の挨拶に引続き下記5名のシンポジストが発言、そのあと
   参加者との質疑応答が活発に行われました。

【シンポジスト】
  津 戸 正 広氏  経済学部教授 経済学部長
  望 月  彰  氏   人間社会学部教授
               大阪府大学教職員組合中央執行委員長
  紅 谷 章 子氏  大阪女子大学斐文会前理事長
  浅 井 義 弘氏  大阪府立泉陽高等学校教員
  田 村   守     大阪府立大学学生中百舌鳥キャンパス自治会
               中央執行委員長  (電子物理工学科2回生)
【コーディネータ】
  野 ア   きよ 氏  旧大阪女子大学卒業生

[津 戸氏]
・府大文系の社会ニーズは非常に高い
 

コーディネータとシンポジストのみなさん

  *過去5年の文系(経済学部、人間社会学部とも)の平均倍率は約
   6.5倍
・文系の学問は、理系の人にとってもベースとなる。
・何より理系の学生自体が「総合大学」を望んでいる。
・理系学生にとっても、文系の友人が作れるなど利点は多い。
・府大改革案の問題
 @オープンな議論無、拙速な議論(議事録無い場での議論+短い議事
  録のみ)
 A更なる理系大学強化の問題⇒文系の高校生の進学機会減少
                  ⇒メリットは??
                     [理系の学生にもマイナスの可能性]
 B授業料の値上げ
 C改革のコアの「現代システム科学域」に問題
    ⇒教育内容に疑問「マネジメント」・「環境」・「情報」の関連性不明!
     ⇒文理融合によって財政状況悪化!
  知事が戦略本部会議で主張している「社会リーダーの育成」が
  実現するとは考えられない!

                   


[望 月氏]
・「大学改革案」は、大阪府による不当な介入に屈した拙速な改革である。
 プロジェクト・チームでの議論において十分に合意されていない事項については、改めて時期中期計画の策定に
 絡めて全学的な協議を尽くすべきである。

  教育基本法および新教育基本法の「教育は、不当な支配に服することなく行われるべきである」との主旨に反
  している。
  また新教育基本法の「大学については、自主性、自律性その他の大学における教育及び研究の特性が尊重さ
  れなければならない」との規定にも反している。
  「大学改革案」にいたる学内での議論は、わずか3ヶ月で府大の存在意義の見直しをはじめとする全面的な体
  制再編の方向性を出すことを府行政から迫られる中で行われた。
  「大学改革案」はプロジェクト・チームの議論を踏まえた上での合意によるものでなかったことも指摘されてい
  る。

・学域、学類型組織構想は大学の自治を形骸化するものである。改革
 に当たっては、学域・学類型を前提とせず、大学としての教育責任を
 果たし得る民主的かつ合理的な組織体制を構築すべきである。

  従来の学部・学科の枠組みを再編統合し、新たな教育組織として学
   域・学類を設置する一方、教員の所属組織として、学域・学類に対
  応した基盤研究グループと、これとは別に各種センターを設置する
   ものである。
  教育組織と教員の所属組織を分離することにより、教育の責任体
   制が曖昧になり、大学教育に不可欠な自治的な運営に支障をきた
  すおそれがある。

・教職員の削減、運営費交付金縮減は大学としての活力の衰退をもたらすものである。府大のさらなる発展のた
  めには、教職員定数と運営費交付金を十分に確保することは不可欠である。

  「大学改革案」は「府の運営費交付金は次期中期計画中に90億円に縮減することを目標とする」として、自ら減
  額を申し出ている。
  府大の研究教育活動のエネルギー源に他ならず、その縮減提案は府大の研究教育活動の衰退を自ら提案し
  ているに等しい。

・「府立大学のあり方」は大阪府への貢献などの名目で目先の利益を府大に求めており、「大学改革案」もこれに
  追随している。府大の将来構想については、21世紀の世界的課題に関する大学の責務に果敢に挑戦するととも
  に、公立大学の存在意義を積極的に主張し、受益者負担主義から脱却して、先駆的に国際水準の無償制高等
  教育機関を目指すべきである。

   21世紀の大学には、人権、平和、福祉などの普遍的価値のさらなる探求と、そこに根ざした科学技術の発展
   を一体のものとして追及することが求められている。その意味で、「大学改革案」が目指す「文理融合」の精神
   は評価されるとしても、そのことと「理系特化」の名による文系廃止策は矛盾するものであると言わざるを得な
   い。

  公立大学の最大の存在意義は、国立大学とともに、相対的に低廉な授業料と質の高い高等教育を国民に提
  供しているところにある。
  欧米先進諸国ではこれが実現されつつある。21世紀における日本の大学、とりわけ公立大学が目指すべき方
  向は、無償制高等教育の実現である。安易に運営費交付金の削減を「大学改革案」に盛り込むことなく、むし
  ろ「無償高等教育の実現」を視野に入れて「授業料減免制度」の大幅な拡充などの制度設計をすべきである。

 府大の予算における学生納付金は約50億円であり、法人化以前の運営費交付金は140億円、これが
 2009年度には108億円に減額されている。運営費交付金を法人化前に戻し、その差額を学生納付金
 分に当てることにより、授業料無償化の実現可能性は十分にある。実現すれば本学の教育理念の崇
 高な先進性が国際的にも明らかとなり、府大の存在価値は一気に高まるであろう。
  
[紅 谷氏]
・(一)2005年の府立3大学統合により、新生府立大学に統合された旧大阪女子大学の数々の研究の実績は今後
  どうなるのか。とくに人間社会学部と上方文化研究センターに引き継がれた学問は、橋下府知事がやってきた国
 際児童文学館の廃止など、数々の文化・芸術の切り捨てと同じ状況に置かれているのではないか。
  斐文会では、「大阪女子大学から引き継がれた学問・研究の場を保障し、貴重な学術資料などの管理・保管・活
  用をはかってほしい」と知事と学長宛に要望書を提出している。

・(二)理系重視の大学になると、今の社会ではまだまだ文系志望の多い女子学生の、しかも学費の安い府立大
  学への進路がせばめられる。理系だけでは現在18.6%(全体では38.2%)であり、女子学生の数が減る。男女の
  学生が生き生きと交流し、学びあえる府大の良さがなくなるのではないか。
  また、同じく女性研究者の数も少なくなり、(現在理系6%、全体で19%)政府の科学技術基本計画、男女共同参
  画計画の目標数値理系で30%からみても、非常に少ない。府民のための公立大学として、子育てや生活にかか
  わる女性研究者の視点は大切である。ドーンセンターの多機能化にみられるように、男女共同参画とは名ばかり
  の橋下府政の"改革"のあらわれである。「改革指針」では、法人化のもと、大学の効率的な経営がますます強化
  されるようである。女性研究者育成の基本理念を持っていた大阪女子大学の伝統をぜひ引き継いでもらいた
  い。

[浅 井氏]
・学生を送り込む側を代表して、話をさせてもらうと府大の文系を目指す学生も多く私達教員、学生自身はもとよ
  り、父兄も大変ショックを受けている。

・府立大の先生方に高校生向けに話をしてもらう機会も持っているが、大変好評であり、そのことで学科に興味を
  持ち、大学の学部志望を決定付けているケースも間々ある。

・卒業生で現在は府大生である女子生徒に聞いてみると、本人は「人間社会学部」だがやはり今回の騒動にはシ
  ョックであり、文系の教職員の方は今後どうされるのでしょうと心配しておりました。
  先生方のことを心配するなどは、1年で随分と成長させていただいたなと感じました。

[田 村氏]
・「大学改革案」に関するアンケートを学生対象に実施し、回収数は少なかったものの学生の率直な意見が出て
  いますので今後の活動をする上での参考としてください。

 [アンケート内容]
  @7つの学部を4つの学域に編成し、理系特化型の大学を目指すとしています。
  A初年度教育の体系化、外国語教育の高度化、基礎教育や専門教育の充実、他大学などとの連携、また教
    育研究の質の向上の為に教員評価制度を確立するとしています。
  B組織の仕組みを点検し、無駄を省くとしています。具体的には、府派遣職員の削減や業務委託、教職員の
    削減などを挙げています。
   以上の3件につき、(賛成・反対・どちらでもない)を答えて貰い、またご意見は?。

  あと改革案に関することで@〜Bに挙げられていない内容や、学生自治会に行って欲しい活動など、自由にお
   書きください。

 集計結果は無かったのですが、賛成・反対・どちらでもないの比率が気になり
 @のみ、調べてみました。         
         174件中
               賛  成        25件(14.4%)
               反  対       118件(67.8%)
               どちらでもない   31件(17.8%)
 回答者が理系か文系か分からないものの、やはり反対が圧倒的に多いという結果が出て
 います。

【参加者との質疑応答】
・経済学部関係者
  アンケートの回収数が少ない結果でも分かるように、理系の学生にとっては他人事なのだ。
  特に理系の教職員はひどい。このままだと、決して他人事ではないことを思い知るであろうに。

・女子大卒業生
  メディアの取り上げ方も一方的なので、府民の理解も誤ってしまう。
  この会も大阪の北や南の繁華街で喧伝するとか、チチン・プイプイでも何でも利用したらどうか。
  そんな動きをするときに必要とあらばいつでも私を呼んでください。お手伝いします。

・経済学部卒業生
  橋下知事は東京の石原知事と同じことをやろうとしているのではないか。
  東京都立大学がその後どうなったか、首都大学東京に関する書物がいろいろ出ているので、皆さんも是非読
  んでみてください。                      
 


・経済学部卒業生
  「大学改革案」が短期間とはいえ論議されたが、あげくは理事長の責任
  によるとりまとめを経て、理系特化の案が提出されたということだが、経
  済からの理事がいないことがそもそもの原因ではないのか。会社経営
  でも、いろいろ討議されても最後は役員会決まりということだから理事を
  送り込むべき。(のちほど、津戸経済学部長から訂正があり、経済から
  の理事はいます。宮本先生が退任されてからも後継者が選出されてい
  ます。)

・大阪市立大学(二部現役生) 
  市立大学も二部廃止問題を抱えており、"二部廃止問題を考える会"を
  設立し、運動している。 府立大のように「学生自治会」は無いが、大変興味がある。
       *反対運動の様子見とエールを送りに来た模様
 


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